勉強しようNTTのBlog - 2012/02

算数の問題と解答とを考えていきます。




2012年02月22日(Wed)▲ページの先頭へ
行列式の意味と計算方法


大学への数学V&Cの勉強
行列と連立1次方程式

【行列式】
ケイリー・ハミルトンの定理の数学的意味を理解するためには、先ず、「行列式」の意味を知る必要があります。

行列式は、ベクトルが張る図形の面積や体積を計算するものです(前のページで説明)。

「行列式」は、行の数と列の数が同じ正方行列の場合に計算できるものです。
(2行2列の行列の行列式)
2行2列の行列の行列式は、
その行列の要素が構成する2つの縦ベクトルが作る平行四辺形の面積をあらわすという意味を持ちます。

2行2列の行列Ampの行列式は、
エディントンの行列式の計算記号εmpを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
εmpm1p2
で計算します。
この計算に利用する行列
εmp
は、m≠pの場合の、
ε12=1,
ε21=−1
であり、それ以外の、m=Pとなる、
εmp=ε11=ε22=0
です。
行列式
εmpm1p2
は、ベクトル(A11,A21)とベクトル(A12,A22)との作る平行四辺形の面積をあらわすという意味を持ちます。

行列式を具体的に計算すると、 εmpm1p2=A1122−A2112

です。
 なお、行列式の計算方法は、行と列を入れ替えても変わらない、行と列に関して対称な式になっています。
すなわち、行列式は、以下の式でも計算できます。
εmp1m2p


以下で、行列式がベクトルの作る平行四辺形の面積を計算するものであることを説明します。

(一言で言うと、行列式の計算式を見ると、
1列目のベクトルに垂直で長さが同じベクトルと、2列目のベクトルとの内積の計算であることがわかります。
その計算は、1列目のベクトルを底辺として2列目のベクトルを斜辺とする平行四辺形の面積を計算するものです。
これで証明ができてしまいましたが、以下の証明も面白いので読んでください。)

以下のように、座標が回転しても結果が変わらないように面積の計算規則を定める点がポイントです。



X座標軸を回転させてY座標軸に重ねると、Y座標軸はX座標軸の負の方向を向いて重なる。そのため、X成分にY成分を掛け算した結果を正にした場合、このように座標を回転させても面積が変わらないようにするには、必然的に、Y成分にX成分を掛け算した結果を負にしなければならない。それで、計算規則が、行列式の計算規則に定まってしまうのです。

(3行3列の行列式)
3行3列の行列の行列式は、その行列の要素が構成する3つの縦ベクトルが作る斜方体の体積をあらわすという意味を持ちます。

3行3列の行列Ampの行列式は、
エディントンの行列式の計算記号εmprを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
εmprm1p2r3
で計算します。
この計算に利用する行列(正しくは、テンソルと呼ばれる)
εmpr
は、m≠p、m≠r、p≠rの場合の、
ε123=ε231=ε312=1
ε213=ε321=ε132=−1
であり、それ以外の
εmpr=0
です。
行列式
εmprm1p2r3
は、ベクトル(A11,A21,A31)とベクトル(A12,A22,A32)とベクトル(A13,A23,A33)との作る斜方体の体積をあらわすという意味を持ちます。

行列式を具体的に計算すると、
εmprm1p2r3
=A112233
+A213213
+A311223
−A211233
−A312213
−A113223

です。


この行列式が斜方体の体積をあらわすので、3つの3次元ベクトルの先端と原点とを頂点とする三角錐の体積は、その3つの3次元ベクトルを3つの列ベクトルとする行列式の値を6分の1にした値になります。

このように、行列式は、行列を構成するベクトルが作る面積や体積をあらわします。

(n行n列の行列式)
ε(p1)(p2)(p3)・・・(pn){A(p1)1(p2)2(p3)3・・・A(pn)n
で計算します。
ここで用いた添え字がn個の行列(正式には、添え字2つのものを行列と呼び、添え字3つ以上のものはテンソルと呼ばれる)
ε(p1)(p2)(p3)・・・(pn)は、以下の値を持ちます。
ε(1)(2)(3)・・・(n)=1
この添え字の位置を交換すると(−1)倍になる。例えば、1と2を交換すると、
ε(2)(1)(3)・・・(n)=−1
これらの添え字の位置を交換した要素以外は全て0です。例えば、
ε(1)(1)(3)・・・(n)=0

【行列式は行と列を入れ替えても結果が同じ】
 行列式は、計算の元になる行列の行と列に関して対称な計算式です。そのため、行と列を入れ替えた行列でも行列式は同じ値になります。

【行列式が0になる行列の性質】
 行列を列ベクトルに分割したとき、その列ベクトルが独立でなく、1つの列べクトルが他の列ベクトル(重みつき和)であらわせる場合は、行列式が0になります。

 (2行2列の行列の場合)
 例えば、2行2列の行列の場合は、行列式が0になる場合は、行列の2つの列ベクトルが、平行な2つのベクトルの場合です。

 この平行な2つのベクトルで構成する平行四辺形の面積は0です。
行列式はその面積をあらわすものなので、その行列式は0になります。

 (3行3列の行列の場合)
 3行3列の行列の場合は、行列式が0になる場合は、行列を構成する3つのベクトルが、同一平面上にある場合です。

 その3つのベクトルで構成される斜方体は、その平面上の高さが0であるので、体積が0です。
行列式はその体積をあらわすものなので、その行列式は0になります。

行列式は、そのうちの2つの行が同じ行ベクトルであると、行列式が0になります。2つの列が同じ列ベクトルの場合も0になります。

また、行列式が0になる行列は、あるベクトルを0ベクトルに変換する性質があります。後に説明する内容ですが、そのベクトルは、その行列の、値が0の固有値に対する固有ベクトルです。
そして、その固有ベクトルには、次のページで説明する余因子行列の列ベクトルが比例します。

なお、以下の行列式の積の計算は間違えやすい。






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2012年02月19日(Sun)▲ページの先頭へ
回転した楕円の方程式


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行列と連立1次方程式

以下の説明は少し長くなります。回転した楕円の式を手っ取り早く求める方法を次ページに書きましたので、楕円の式のみに興味のある人は次のページに進んでください。
(ただし、このページの最後の、楕円の軸ベクトルの公式は見て欲しい。)

【解説】
直線を座標原点を中心に回転させる場合は、以下の図のように、回転した直線の方程式が求められます。

直線の式は、直線上の点の位置ベクトルと単位ベクトルaの内積が直線と原点との間の距離cであるという関係をあらわす式ですので、直線を回転すると、その単位ベクトルaが回転します。それで、回転した直線の式は単位ベクトルaを回転変換することで求められます。

次に、楕円を座標原点を中心に回転させる場合を、以下の図で考える。

楕円の式は、楕円の軸をXY座標軸に合わせるように回転を巻き戻した場合の式はわかっています。そのため、回転した楕円上の点(X,Y)を、回転を巻き戻した楕円上の点(X’,Y’)に変換して、その点のXY座標を楕円の式であらわします。
回転した楕円上の点の座標(X,Y)を(X’,Y’)に変換する、回転の巻き戻し変換の行列をCmkとします。
以下では、この行列による座標の変換の式を楕円の式に代入して、その代入した式を変形することで回転した楕円の式を計算します。



以上の計算結果をまとめると、

こうして、回転した楕円をあらわす方程式が計算できました。
回転した楕円の方程式をあらわすために対称行列Fksを利用しました。

この楕円をあらわす方程式の左辺Xksは、
ベクトルXとべクトル(Fks)との内積を計算する式です。
すなわち、べクトルXを行列Fksで変換して作ったベクトルと元のベクトルとの内積を計算する式です。
元のベクトルXが固有ベクトルのとき、固有ベクトルは固有値倍に拡大されます。
その内積の計算結果は、元のベクトルの長さの2乗を固有値倍した値になります。

結局、楕円は、位置ベクトルXを対称行列Fksで変換して作ったベクトルと元の位置ベクトルとの内積が1になるという関係を満たす点の集合です。

次に、回転した楕円の式が与えられたとき、その楕円はどれくらいの角度回転した楕円であるか、その回転角度を楕円の式から計算する方法を考えます。
その方法は、以下の楕円の軸の性質を利用します。


なお、この軸ベクトルBは、楕円の(−θの)回転変換の行列の2列目の列ベクトルC−1k2です。


なお、この軸ベクトルGは、楕円の(−θの)回転変換の行列の1列目の列ベクトルC−1k1です。

以上のように、回転した楕円の軸ベクトルは、対称行列Fksの固有ベクトルです。そのため、対称行列Fksの固有ベクトルを計算すれば回転した楕円の回転角度がわかります。

なお、回転した楕円の軸の長さaとbは、以下のように計算して固有値(1/a)と(1/b)を得ることでわかります。
(F11−λ)(F22−λ)−F12=0
λ−(F11+F22)λ+F1122−F12=0
λ−((1/a)+(1/b))λ+(cosθ+sinθ+2cosθsinθ)(1/(ab))=0
λ−((1/a)+(1/b))λ+(cosθ+sinθ)(1/(ab))=0
λ−((1/a)+(1/b))λ+(1/(ab))=0
(λ−(1/a))(λ−(1/b))=0
∴ 固有値は、(1/a)と(1/b

楕円の方程式は、固有ベクトルの方向では、
ベクトルの長さの2乗×固有値=1
すなわち、
ベクトルの長さの2乗=1/固有値
よって、そのベクトルの長さはaとbです。

以下で、この固有値λ毎に固有ベクトルを計算します。

固有値λ=(1/a)の場合、
行列Fks−λEksを計算する。
11−(1/a)E11=((−1/a)+(1/b))sinθ
12−(1/a)E12=((−1/a)+(1/b))cosθsinθ
21−(1/a)E21=((−1/a)+(1/b))cosθsinθ
22−(1/a)E22=((−1/a)+(1/b))cosθ
この行列の余因子行列Hmpは、以下の式になる。
11=((−1/a)+(1/b))cosθ
12=−((−1/a)+(1/b))cosθsinθ
21=−((−1/a)+(1/b))cosθsinθ
22=((−1/a)+(1/b))sinθ
この余因子行列の縦ベクトルHm1は固有ベクトルに比例する。
m1=((−1/a)+(1/b))(cosθ, −cosθsinθ)
(注意)表示の都合で、列ベクトルの2成分を1行に記載した。
ここで、((−1/a)+(1/b))cosθ≠0の場合に、
このベクトルを((−1/a)+(1/b))cosθで割り算すると、
(cosθ, −sinθ)
という固有ベクトルが得られる。
あるいは、−((−1/a)+(1/b))sinθ≠0の場合に、
m2を −((−1/a)+(1/b))sinθで割り算すると、
同じく、
(cosθ, −sinθ)
が固有ベクトルとして得られる。
結局、(−1/a)+(1/b))≠0の場合に、
(cosθ, −sinθ)
が固有ベクトルとして得られる。
これは、楕円の軸ベクトルGである。

固有値λ=(1/b)の場合、
行列Fksは、a→b,b→a,cosθ→sinθ,sinθ→−cosθという置き換えをしたら同じ式になるので、
固有値(1/a)の固有ベクトルの解を、そのように置き換えることで、固有値(1/b)の固有ベクトルの解になる。
∴ 固有ベクトルは、
(sinθ, cosθ)
これは、楕円の軸ベクトルBである。

(蛇足)
固有ベクトルを求めて楕円の回転角度を求める以外の方法で楕円の回転角度(−θ)を計算する方法として、以下のようにしても角度θを計算できる。
((−1/a)+(1/b)){cosθ−sinθ}≠0の場合に、
2F12/{F22−F11}=2sinθcosθ/{cosθ−sinθ}=tan(2θ)
こうして、回転した楕円の式から、楕円の回転角度の2倍のタンジェントが計算できる。

この、楕円の回転角度2θの公式を導く方法として、固有ベクトルが同じ行列(対称変換行列)を計算することで、この公式を導くこともできる。

【楕円の軸ベクトル(固有ベクトル)の公式】
一方、以上の計算の結果の、対称行列Fの固有ベクトル(角度−θ方向の、楕円の軸の方向のベクトル)をあらわす公式は以下のようにあらわせる。上の蛇足の公式を覚えるよりは、以下の計算手順を含めた公式を覚える方が覚え易いのではないかとも考える。
先ず、固有値は以下の式で計算できる。

この固有値毎に以下のように固有ベクトルが計算できる。

楕円の軸ベクトルの公式は上の蛇足の公式と以下の関係で結び付いています。




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2012年02月08日(Wed)▲ページの先頭へ
行列の掛け算の定理


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行列と連立1次方程式

【解説】
行列の掛け算はどういう演算に応用でき、どういう演算には応用できないかは、行列の掛け算の定理により定められます。
以下で、この行列の掛け算の定理を証明します。

(条件1)ベクトルDが、以下の式1と式2によりベクトルFに変換されること。その式の係数が行列Aを成すこと。

式1と式2の演算の係数を添え字を付けて区別して式3で表します。
この式3は、式3’とあらわすと便利です。
この表し方はアインシュタインが提案した表記方法です(アインシャタインの縮約記法)。
この式3’は、変数で表した添え字の変数名が同じ場合に、その変数名の添え字のあらゆる場合(この場合は1と2のみ)について和をとることにした式です。

(条件2)ベクトルFが、以下の式4と式5によりベクトルGに変換されること。その式の係数が行列Bを成すこと。

式4と式5の演算の係数を添え字を付けて式6で表します。
この式6は、アインシュタインの縮約記法の式6’であらわせます。

式6’に式3’を代入すると式7が得られます。
式7は、更に式8に変形できます(式8はアインシュタインの縮約記法であらわした式です)。
式8’のように、演算Aと演算Bを合成した演算Cを考えます。
式8から、演算Cをあらわす行列Cの要素の値を計算する式9が得られます。
こうして、演算AとBの行列の要素を用いた式9で演算Cをあらわす行列Cの要素が計算できることがわかりました。

この演算Cを、式10のように、演算Aと演算Bの積(掛け算)と定義します。
そして、その演算Aと演算Bの掛け算である演算Cの行列の要素は式9’で計算できます。
これが、行列の掛け算の定理です。

すなわち、行列の掛け算の定理を、以下のようにあらわすことができます。
(条件1)ベクトルを式1〜2でベクトルに変換する演算Aの行列Aが定義され、
(条件2)ベクトルを式4〜5でベクトルに変換する演算Bの行列Bが定義されている場合に以下のことが成り立つ。
(結果)
第1のベクトルを演算Aで変換して第2のベクトルを得、更に、第2のベクトルを演算Bで変換して第3のベクトルを得る場合、
その2つの演算は、第1のベクトルを第3のベクトルに変換する演算Cにまとめることができる。
演算Cの行列Cは、式9’で計算することで求めることができる。
その演算Cを、演算Aに演算Bを掛け算した演算であると定義する。
演算Cの行列の要素を計算する式9’の計算を、行列の掛け算と定義する。

【計算の形】
なお、この掛け算の計算方式をベクトルAとBの内積にあてはめると、以下の形の行列の計算になる。

この計算は、横ベクトルAと縦ベクトルBの積であらわせる。
一方、アインシュタインの縮約記法では、ベクトルを縦ベクトルと横ベクトルの形に区別しないで内積の計算を表現できる。




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2012年02月07日(Tue)▲ページの先頭へ
回転変換の行列の計算で三角関数の加法定理を得る


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行列と連立1次方程式

【解説】


(X,Y)座標であらわされるベクトルを、左回りに角度θ回転させて、(X’,Y’)座標であらわされるベクトルにする変換は以下の式になります。

X’=(cosθ)X−(sinθ)Y
Y’=(sinθ)X+(cosθ)Y
この変換は次式のように行列であらわせます。


θ=α+β
の場合、

(1)角度αの回転変換の行列(回転行列)は、行列をベクトルに掛け算してベクトルを得る式であらわされている。
(2)角度βの回転変換の行列(回転行列)も、行列をベクトルに掛け算してベクトルを得る式であらわされている。
(3)そのため、以下の、行列の掛け算の定理が成り立つ。
すなわち、
(A)第1のベクトルに角度αの回転変換をして第2のベクトルを得、
(B)その第2のベクトルに角度βの回転変換を行って第3のベクトルを得る変換は、
(C)1つの行列であらわせる。
その行列は、
角度αの回転行列に角度βの回転行列を行列の掛け算計算で得た行列と等しい。

また、第1のベクトルに角度αの回転変換をして得た第2のベクトルに角度βの回転変換を行って第3のベクトルを得る変換は、θ=α+βの回転変換と同じである。

その回転行列を計算して比較すると、上式のように、三角関数の加法定理が得られます。

(補足)
なお、
(1)角度αの回転行列と角度βの回転行列を掛け合わせた計算計算結果に加法定理を適用すると角度(α+β)の回転行列になるので、
(2)角度αの回転に角度βの回転を重ねると角度(α+β)の回転になる
と説明されることがあるが、
その説明は本末転倒です。

角度αの回転に角度βの回転を重ねると角度(α+β)の回転になるのは自明のことであって、
(1)その自明な事実に、
(2)2つの演算を重ね合わせた演算の行列は行列の掛け算によって導出できる行列の掛け算の定理を適用することで、
(3)加法定理という関係式が導き出されます。

定理とその定理から導出できる結果とは、その関係を逆転させて、結果から大元の定理を導き出すこともできます。
そのため、どの事実が自明で主となる事実であり、どの事実が従属的に分かる関係であるかを的確に判断する数学的センスが大切です。

(蛇足)
ここで、2θの回転行列とその2分の1の回転行列の要素の間には以下の関係があることを覚えておくと便利です。




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2012年02月06日(Mon)▲ページの先頭へ
座標の回転変換の式のおぼえ方

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行列と連立1次方程式

【解説】

(X,Y)の座標をあらわすベクトルを、左回りに角度θ回転させて、(X’,Y’)の座標をあらわすベクトルにする変換は以下の式になります。

X’=(cosθ)X−(sinθ)Y
Y’=(sinθ)X+(cosθ)Y

この変換の式のおぼえ方は、上の図を思い描いて、図から、

X座標のみがある場合のY’座標が(sinθ)・Xであること。
Y座標のみがある場合のX’座標が(−sinθ)・Yであること。

を想像する。
次に、それ以外は、係数がcosθの項を加えることで、回転変換の式ができあがります。

(補足)
三角関数の加法定理を知らないと回転行列が導き出せないという誤解が流通しているようですが、そのようなことはありません。
X座標のみがある場合のY’座標が(sinθ)・Xである。
X座標のみがある場合のX’座標が(cosθ)・Xである。

そのため、回転行列Aの要素は、
11=(cosθ)
21=(sinθ)
Y座標のみがある場合のX’座標が(−sinθ)・Yである。
Y座標のみがある場合のY’座標が(cosθ)・Yである。

そのため、回転行列Aの要素は、
12=(−sinθ)
22=(cosθ)
こうして、加法定理を使わずに、回転行列の全ての要素がわかります。

この回転行列が全てのベクトルを角度θ回転することの証明:
(1)全てのベクトルはX方向のベクトルとY方向のベクトルに分解されます。
(2)そして、その各々のベクトルが同じ角度θ回転します。
(3)そのため、その成分を合成したベクトルもまた角度θ回転します。
(証明おわり)


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複素数平面での座標回転を応用した例
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2012年02月05日(Sun)▲ページの先頭へ
行列の固有値が重根の場合の固有ベクトル


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行列と連立1次方程式

【解説】
2行2列の行列の場合は、固有値λは、以下の行列式を0にするλを計算することで求められます。
εsp(As1−λEs1)(Ap2−λEp2)=0
ここで、行列Espは単位行列です。
また、そのλの解(固有値)α、β毎に、固有ベクトルがあります。

すなわち、行列は、固有値毎のあるベクトル(固有ベクトル)を固有値倍にします。


一方λの解が重根である場合、すなわち、α=βの場合は、単位行列に比例する行列でなければ、
固有値αに対応する固有ベクトルは1つしか無い。

(注意)単位行列に比例する行列や0行列の場合は、例外的に、全方向のベクトルが固有ベクトルであり、複数の固有ベクトルを持つことに注意。


考え易くするために、λ=α=β=0となる行列Aspを考える。
そのような場合の行列Aspの例は、
11=1
12=1
21=−1
22=−1

εsp(As1−λEs1)(Ap2−λEp2
=(A11−λ)(A22−λ)−A1221
=(1−λ)(−1−λ)+1=λ=0

この行列の余因子行列Cptは、
11=−1
12=−1
21=1
22=1
よって、この行列Aspは、余因子行列の列ベクトル(C11, C21)=(−1,1)をλ=0倍の0ベクトルに変換する。この列ベクトル(−1,1)が固有ベクトルである。


一方、行列Aspは、ベクトル(a,b)を、
(a+b, −a−b)=(−a−b)(−1,1)に変換する。
すなわち、固有値0に対する固有ベクトルに平行な、固有ベクトルの(−a−b)倍の、ベクトルに変換する。
すなわち、列ベクトル(a,b)に対して、列ベクトル(−1,1)に垂直な列ベクトル(−1,−1)との内積(−a−b)を計算して、その値を列ベクトル(−1,1)に掛け算した列ベクトルを求める、という変換を行なうのです。

行列Aspが任意のベクトル(a,b)を固有ベクトルに平行なベクトルに変換した後で再度行列Aspで変換すれば、それは0ベクトルになる。


同様に、λ=α=β=0となる2行2列の行列Aspは、どの行列も、
その行列で任意のベクトルを変換すれば、固有値が0の固有ベクトルに平行なベクトルに変換し、
2重に変換すれば、任意のベクトルを0ベクトルに変換する。
任意のベクトルを0ベクトルに変換する元の行列は0行列である。すなわち、
sppt=0st
である。


【第1の証明】
このことの証明を簡単に行なうには、ケイリー・ハミルトンの定理を先に証明しておいて、ケイリー・ハミルトンの定理を使って、これを証明するのが良いように考える。

(証明開始)
2行2列のケイリー・ハミルトンの定理は、固有値αとβに関して、
(Asp−αEsp)(Apt−βEpt)=0st
である。
このα=β=0の場合は、
sppt=0st
になる。
また、Aspの余因子行列Cmtの列ベクトルをCとすると、それは、固有値α=β=0の固有ベクトルであるから、
sp=0
また、任意のベクトルDに関して、
sppt=0

ptは、行列Aspで0ベクトルに変換される固有ベクトルCに平行なベクトルである。
(証明おわり)

【第2の証明】
(証明開始)
重根の場合、すなわち、α=β=0となる場合に、
1つの固有ベクトル
(C11, C21)=(−1,1)≡C 
が得られ、その固有ベクトルに対して、
(Amp−α・Emp)C=0  (式1)
になる。
次に、行列(Amp−α・Emp)による任意のベクトルDの変換結果のベクトルは、以下の式2であらわせる。すなわち、
(1)ベクトルDがベクトルCと線形独立な場合は、ベクトルDと固有ベクトルCを用いて、 
(Amp−α・Emp)D=gD+hC  (式2)
とあらわせる。
(2)また、ベクトルDがベクトルCと線形独立で無くベクトルCの定数倍の場合は、g=0、h=0とあらわせて、やはり式2であらわせる。

(仮定)ここで、g≠0と仮定すると、

式1により、
(Amp−α・Emp)(h/g)C=0  (式3) 
が得られる。
この式3を式2に足し合わせると、
(Amp−α・Emp)(D+(h/g)C)=gD+hC ,
mp(D+(h/g)C)=(α+g)・(D+(h/g)C) (式4)
式4は、ベクトル(D+(h/g)C)が行列Ampにより(α+g)倍に変換されることをあらわしているので、
α+gが固有値であることになる。
一方、固有値は重根であって、αのみであるので、
g=0
になる。
しかし、g≠0と仮定していたので、これと矛盾する。
よって、g≠0とした最初の仮定が不適である。
∴ g=0

任意のベクトルFに関する式2は、
(Amp−α・Emp)D=hC

(Amp−α・Emp)Dは、行列Aspで0ベクトルに変換される固有ベクトルCに平行なベクトルである。
(証明おわり)




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ベクトルの座標を回転させる行列の固有値と固有ベクトル


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行列と連立1次方程式

【解説】
座標値(X,Y)であらわされるベクトルを、左回りに角度θ回転させて、座標値(X’,Y’)であらわされるベクトルにする変換をあらわすと以下の式になります。
X’=(cosθ)X−(sinθ)Y
Y’=(sinθ)X+(cosθ)Y
この変換は、以下のように行列Aspであらわされています。
X’=Asp
ただし、この表記方法はアインシュタインの行列の積の表記方法です。通常の行列表現は以下のものです。

そして、ベクトル及び行列の各要素は以下の通りです。
X’=X’
X’=Y’
=X
=Y
11=cosθ
12=−sinθ
21=sinθ
22=cosθ
この行列Aspは回転変換をあらわしますが、この行列は、あるベクトル(固有ベクトル)をλ倍にする変換でもある。
λは、以下の行列式を0にするλ(それを固有値と呼ぶ)を計算することで求められます。
εsp(As1−λEs1)(Ap2−λEp2)=0
ここで、行列Espは単位行列です。
また、そのλの解(固有値)α、β毎に、
(1)λの解α(=固有値)については、
行列(Asp−αEsp)の余因子行列Cptを計算し、その余因子行列Cptの列だけを取り出した列ベクトルCp1(又はCp2)が、
(Asp−αEsp)Cp1=0
(0は0ベクトル)
spp1=α・Espp1=α・Cs1
を満足する。Cp1がα倍になる。
p1が固有ベクトルである。
p2もα倍になる固有ベクトルであるが、Cp1に平行なベクトルであるので、Cp1を求めるのもCp2を求めるのも同じことである。

(2)λの解β(=固有値)については、
行列(Asp−βEsp)の余因子行列C’ptを計算し、その余因子行列C’ptの列だけを取り出した列ベクトルC’p1(又はC’p2)が、
spC’p1=β・C’s1
を満足する。
C’p1(又はC’p2)が固有ベクトルである。

(3)固有値を具体的に求める
εsp(As1−λEs1)(Ap2−λEp2)=0
(cosθ−λ)(cosθ−λ)+(sinθ)(sinθ)=0
λ−2(cosθ)λ+1=0
(λ−cosθ)=−sinθ
(λ−cosθ)=±i・sinθ
λ=cosθ±i・sinθ
α=cosθ+i・sinθ
β=cosθ−i・sinθ
(4)この固有値αに対する行列(Asp−αEsp)の余因子行列Cptを計算する。
11−αE11=−i・sinθ
12−αE12=−sinθ
21−αE21=sinθ
22−αE22=−i・sinθ
余因子行列Cptは、
11=−i・sinθ
12=sinθ
21=−sinθ
22=−i・sinθ
よって、固有ベクトルは、
(−i・sinθ, −sinθ)
sinθ≠0のとき、
−sinθで割り算して、もっと簡単にした固有ベクトルは、
(i, 1)
(注意)sinθ=0の場合、この割り算計算は(0で割り算するので)無効です。sinθ=0の場合、すなわち、回転角度が0の場合の行列Aspの固有ベクトルが(i, 1)であるかかどうかが定まりません。実際、回転角度が0の場合の行列Aspは単位行列Espになりますが、その固有ベクトルは、あらゆる方向のベクトル全てが固有ベクトルになります。(注意おわり)

この固有ベクトルに左から行列Aspを掛け算すると、
(i・cosθ−sinθ, i・sinθ+cosθ)
=(i・sinθ+cosθ)(i, 1)=α(i, 1)

行列Aspは、実数のベクトルだけを考えると回転変換しかしないのに、複素数で考えると、固有ベクトルを固有値倍に変換する。

(5)固有値βに対する行列(Asp−βEsp)の余因子行列Cptを計算する。
11−βE11=i・sinθ
12−βE12=−sinθ
21−βE21=sinθ
22−βE22=i・sinθ
余因子行列Cptは、
11=i・sinθ
12=sinθ
21=−sinθ
22=i・sinθ
よって、固有ベクトルは、
(i・sinθ, −sinθ)
sinθ≠0のとき、
sinθで割り算して、もっと簡単にした固有ベクトルは、
(i, −1)
この固有ベクトルに左から行列Aspを掛け算すると、
(i・cosθ+sinθ, i・sinθ−cosθ)
=(−i・sinθ+cosθ)(i, −1)=β(i, −1)

このように、固有ベクトルを固有値倍に変換する。




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2012年02月03日(Fri)▲ページの先頭へ
行列式が0になる行列は、余因子行列の列ベクトルを0ベクトルに変換する


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行列と連立1次方程式

行列Ampに対する余因子行列Bstを、以下の式で定義します。

(1)
2行2列の行列Ampの余因子行列Bstは、
エディントンの行列式の計算記号εmpを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
1m=εmpp2
2p=εmpm1
で計算します。
この計算に利用する行列
εmp
は、
ε12=1,
ε21=−1
であり、それ以外の
εmp=0
です。
余因子行列Bstは、具体的には、
11=A22
12=−A12
21=−A21
22=A11


こうして計算した余因子行列Bstを行列Ampに掛け算すると、
行列Ampの行列式=Δとすると、
1mm1=εmpm1p2=Δ
1mm2=εmpm2p2=0
2pp1=εmpm1p1=0
2pp2=εmpm1p2=Δ

sttp=Δ・Esp
このEspは、単位行列。


(2)
3行3列の行列Ampの余因子行列Bstは、
エディントンの行列式の計算記号εmpsを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
1m=εmpsp2s3
2p=εmpsm1s3
3s=εmpsm1p2
で計算します。
この計算に利用する行列
εmpr
は、
ε123=ε231=ε312=1
ε213=ε321=ε132=−1
であり、それ以外の
εmpr=0
です。

こうして計算した余因子行列Bstを行列Ampに掛け算すると、
3行3列の行列Ampの行列式=Δとすると、
1mm1=εmpsm1p2s3=Δ
1mm2=εmpsm2p2s3=0
・・・
結局、
smmp=Δ・Esp
このEspは、単位行列。

(3)
このように、余因子行列Bsmは、
行列Ampの左から掛け算することで、Δ・Esp
となる行列です。

(4)
また、行列Ampの右から掛け算する場合も、同じことになります。
そうなるのは、行列式が以下の式でもあらわせることに由来します。
つまり、2行2列の行列式Δは、
Δ=εmpm1p2
Δ=εmp1m2p
ともあらわせ、
また、3行3列の行列式Δは、
Δ=εmpsm1p2s3
Δ=εmps1m2p3s
ともあらわせることに由来します。
(この証明は省略)

以下では、余因子行列Bsmの右側からの掛け算でも、この関係を満足することを確認するために、2行2列の行列を例に、直接計算してみます。
11=A22
12=−A12
21=−A21
22=A11
この余因子行列Btmの左から行列Astを掛け算すると、
1tt1=A1111+A1221=A1122−A1221=Δ
1tt2=A1112+A1222=−A1112+A1211=0
2tt1=A2111+A2221=A2111−A2221=0
2tt2=A2112+A2222=−A2112+A2211=Δ

sttm=Δ・Esm


このように、余因子行列Btmは、
行列Astの右から掛け算しても左から掛け算しても、Δ・Esm
となる行列です。

(5)
ベクトルBt1に対して、
(ベクトルBt1は、(B11, B21)です。)
stt1=Δ・Es1
そのため、行列Astの行列式Δ=0の場合、
行列Astは、ベクトルBt1を0ベクトルに変換します。

このベクトルはこの行列の固有値0に対する固有ベクトルです。
また、ベクトルBt2に対しても、
stt2=Δ・Es2
そのため、行列Astの行列式Δ=0の場合、
行列Astは、ベクトルBt2も0ベクトルに変換します。

2行2列の行列Astの行列式Δ=0の場合、
ベクトルBt1とベクトルBt2は、同じ方向を向いた平行なベクトルです(証明は省略)。そのため、そのうち一方だけで(ただし、それが0ベクトルで無いベクトルを選ぶこと)、0ベクトルに変換されるベクトルの代表にすることができます。

このように、行列Astの行列式Δ=0の場合、
その余因子行列の列ベクトルBt1(又はBt2)は、行列Astが0ベクトルに変換します。



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