積分可能の定義






2017年08月12日(Sat)
積分可能の定義
「微分・積分」の勉強
 高校2年生から、極限・微分・積分の「意味がわからない」「つまらない」「教わる計算方法が正しいと言える理由(証明)がわからない」で数学の学習から脱落する高校2年生が多いらしい。
 その脱落の原因は、高校2年の極限・微分・積分の授業では、数学のうたい文句から外れた教育がされるからではないかと考えます。
すなわち、今までは、
「数学は、公式を正しく証明した後にその公式を使う」
と言って来たが、
高校2年生の、極限・微分・積分の授業からは、
「数学は、計算結果さえ合えば良い、途中の経緯は問わない、公式の証明は間違っていても問題視しない」
という教育思想が入り込み、
その思想の行き過ぎを避けるため、
「便利すぎる公式は、それをつかって直ぐ答えが得られてしまうから教えない」
という思想が混ざり、
数学教育に大きな濁りが入り込むので「微分積分がつまらない」となる原因があるのではないかと考えます。

 その濁りに押し流され無いため、高校2年生も 公式を厳密に証明して納得してから使う、数学の心に従って極限・微分・積分の学習をして欲しいと考えます。

 先ず、積分とは何かを、積分可能のハッキリした定義を知ることで頭を整理しましょう。

(積分の計算の基本)
 以下のグラフのように、面積を分割して、分割した要素の総計を求めてグラフの面積を計算する手法が「積分」です。
 この計算のための法則性を整理して覚えることが「積分」を勉強するということです。

(「リーマン積分可能」の定義)
「微分積分学入門」(横田 壽)の124ページから125ページに「リーマン積分可能」の定義が書いてあります:

 ここではドイツの数学者G.F.B. Riemann (1826-1917) によって示されたRiemann 積分につ いて学んでいきます.リーマン積分による「積分可能」の定義は、全ての種類の「積分可能」の定義の基礎になっています。
  f(x) は閉区間[a, b] で定義されているとします.この区間[a, b] を次のような点xi(i = 1, 2, . . . , n) でn 個の小区間に分割します.
(a = x0 < x1 < x2 < · · · < xi < · · · < xn = b)

 この分割をΔ で表わし, Δxi = xi − xi−1 (i = 1, 2, . . . , n) のうちで最も大きい値を|Δ| で 表わします.
いま,それぞれの小区間[xi−1, xi] のなかに任意の点ξi をとり,Riemann 和 (Riemann sum) とよばれる次の和を考えます.

このとき、
となる実数S が存在するならば,このS をf(x) の定積分(definite integral) といい, f(x) は[a, b] で積分可能(integrable) であるといいます.また,このS を次のように表わします.
つまり関数f(x) が[a, b] で積分可能であるということは,分割の仕方および点ξi(i = 1, 2, . . . , n) のとり方に関係なく、各点の関数値の和が一通りに定まるということです.

 この定義に従い、関数の積分可能性を以下の様にして調べることができます。
先ず小さな閉区間[a, b] を定めて、
その区間の小区間への分割の仕方および点ξi(i = 1, 2, . . . , n) のとり方に関係なく、各点の関数値の和が一通りに定まる(積分可能)か否かを調べることができます。 

(積分可能な例1)
以下の図の関数f(x)のグラフを考えます。
この関数は、x=0の点での極限とx=2の点での極限が存在しません。
x=0の点とx=2の点で関数は不連続であり、また、極限も存在しませんが、
−1≪x≪3
の領域で関数の領域を細分した各細分領域での関数の値の和が一通りに定まるので、その不連続点を中間に持つ領域でも積分可能です。
この関数f(x)を積分して、以下の図の関数F(x)を求めることができます。
この関数F(x)を微分して下図のグラフの関数を求めます。
x=0とx=2の点では、微分係数が存在しないので、その点では微分できません。
この(dF(x)/dx)のグラフは、x=0とx=2で関数値が存在しないという点で、関数f(x)と異なるグラフになるという特徴があります。
 このグラフを再度積分したらどうなるでしょうか。
その積分結果は、再び同じ関数F(x)が得られると考えます。
x=0の点とX=2の点の有無で異なる2つのグラフを積分したら、同じ関数F(x)が得られました。
そのため、関数f(x)に積分結果の関数F(x)を対応させる写像変換は、
2個以上の関数f(x)に1つの関数F(x)を対応させる、
複数対1の写像であると考えられます。
 特に、積分では、被積分関数が連続関数である場合と、その連続関数の1点の関数値が存在しない(あるいは0等の値になる)不連続関数である場合とが区別できない。
(不連続関数f(x)の積分と、その微分の例)
 関数f(x)を:
変数xが整数の点では関数値が存在せず、
変数xが整数以外の点では値が1、
である不連続関数とします。
 この不連続関数y=f(x)のグラフを積分したら、
連続な関数F(x)=xが得られると考えます。
その連続関数F(x)=xを微分したら、
連続関数であるy=1が得られると考えます。

(積分可能な例2)
上のグラフは、不連続な関数f(x)のグラフですが、積分可能なグラフの例を示しています。

 上の図の関数f(x)がリーマン積分可能なのは、変数xの領域の部分毎です。
第1の部分:
ー∞<x<A
第2の部分:
A’<x≦C
(点Aで関数は不連続であり、また、極限も存在しませんが、
ー∞<x≦C
まで合わせた領域でも、関数の領域を細分した各細分領域での関数の値の和が一通りに定まるので、その不連続点Aを中間に持つ領域でも積分可能です。)

(点Bでは、関数が無限大になるので積分ができません)
第3の部分:
D≦x<+∞

(注意1)
 リーマン積分では、点A’から点Dまで、関数f(x)の値が無限に大きくなる点Bを中間に持った領域で関数f(x)を積分することができません。
その理由は:
無限に関数値が大きくなる点Bを中間に持つと、その点Bを中間に持つxの細分領域で、
細分の幅Δxがどれだけ小さな値であっても、
(1/Δx)≪f(ξ)
となる関数値f(ξ)を選ぶことができるからです。
そういう関数値f(ξ)を選んでしまうと、関数値の総和が定まらなくなってしまうからです。

(注意2)
 しかし、上図の関数f(x)は、B点の左側の領域で、X=A’からx=Cまでの積分の値の、Cを無限にBに近付けた極限の有限の値を持つものとします。
また、B点の右側の領域で、X=DからX=+∞までの積分の値の、Dを無限にBに近付けた極限の有限の値を持つものとします。
「そのように左側の領域のC点及び右側の領域のD点をB点に近付けた極限での積分の値が存在するならば、
B点の左側の領域の積分値と、B点の右側の領域の積分値の和を、点Bを中間に持つxの領域での積分とする」
と言うように、関数f(x)の「積分可能性」の定義を拡大することができます。 
例えば、下図の関数の積分を考えます。
この積分は、A点からC点までの範囲までならばリーマン積分が可能です。
その積分可能範囲は、C点をB点に近付けた場合の積分結果の極限値をB点までの積分値であると、積分可能範囲の定義を拡張できます。

 一方で、この積分は、以下の様に変数xを変数tに変換して計算することができます。
この変数変換をすると、A点からB点までの積分は、下図の関数の積分に変わります。
上図の積分の場合、A点からB点までの範囲での関数の値が有限値なので、リーマン積分が可能です。
この変数tに変換した積分のA点からB点までの積分可能範囲が、変数xでの積分の、拡張した積分可能範囲と一致します。

(連続関数の積分)
 下図のグラフの関数は連続関数で、関数の極限が存在するが、でこぼこしていて、でこぼこがxのあらゆる有理数にまで在り、どの有理数のxの位置においても微分不可能な関数です。
 上図のグラフのよう微分不可能な位置(x=有理数の点)が無限にある関数であっても、積分はできます。
元の関数が連続関数等の、関数の極限が存在する関数の場合は、その関数を積分した関数は微分可能な関数になります。
こうして、極限が存在する関数を積分して関数群を作れば、その関数群は皆、微分可能な関数であることが保証されます。

(極限が存在しない点が無限にあり、積分不可能な関数)
 しかし、下のグラフの関数f(x)のように、どの位置においても関数の極限が存在しない関数もあり得ます。
 例えば、 
xが有理数の場合にf(x)=0であって、
xが無理数の場合のf(x)=1
という、極限が存在しない関数f(x)などです。
(f(x) ≡ 1−ディリクレ関数)
 そういう、極限が存在しない関数f(x)を積分して関数F(x)を得た場合(もし積分できた場合)、その積分により得られた関数F(x)は微分可能だろうか。
 そもそも、微分の計算は極限を求める計算なので、その関数f(x)が積分できても、その積分した関数F(x)を微分した場合に、元の関数f(x)は(極限値が存在しないので)、微分によっては得られないと考えます。

 この関数f(x)の変数x=x1からx=x2までの変数xの範囲をn等分して、その区分した部分毎にf(x)の値f(ξ)を求めて、その値の和で積分します。
(1)その際に、 変数x=ξが全て有理数なら、f(ξ)=0になり、積分結果は0になります。
(2)一方、変数x=ξが全て無理数√2の有理数倍なら、f(ξ)=1になり、積分結果は(x2−x1)になります。
(3)区分の仕方によって結果が変わるような計算の値は定かでは無いので、その様な関数f(x)は積分することができません。
(但し、無理数は有理数の可付番無限大倍よりも多く圧倒的に多い無理数を優先して計算するルベーグ積分という定義もあります。)

(極限が存在しない点が無限にあり、積分可能な関数)
上図のノコギリ関数g(x)を使って以下の関数を作ります。
この関数は、以下のx座標で極限が存在しない。
その他、
x=奇数/(整数×2)
の点では極限値が存在しない。

しかし、この関数は積分できる。
この関数G(x)は微分できる。
微分結果は、以下の関数g2(x)を使ってあらわすことができる。
微分結果のグラフは、以下のグラフになります。
ただし、このグラフのうち、極限が存在しない有理数のxの値で、このグラフは不連続です。
このグラフは連続では無いが、その不連続点では関数値が存在しないという点で、
積分以前の関数とは異なっています。
しかしながら、「微分可能」な変数xの関数値は積分以前の関数と同じ値を持ちます。
おもしろいことに、このグラフは、
x=無理数の位置で「連続」です。
そのxの無理数の値から無限に小さい距離の近くにも有理数の値のxの不連続点があるにもかかわらずです。

 このように、微分積分学では、あらゆる関数に微分積分を行う理論を作ろうとすると、いろいろな難しい問題があることがわかりました。
 微分積分学で、難しい問題が生じない関数の範囲を把握して、その範囲内で微分積分の計算をすることで、応用上で微分積分を使い易くできます。
 そのため、使い易い関数として、極限が存在する「連続関数」 を主に扱う対象にし、また、「微分可能性」で関数の変数の定義域を制限して、微分積分を行う範囲を制限します。その範囲内で成り立つ法則を把握して、種々の公式を導き出して使うことで微分積分学を最大限に応用できるようになります。

 微分積分学は、微分可能な関数と積分可能な関数を定義して、その種の関数の間で微分したり積分をします。「微分可能」と「積分可能」という制限条件を定め、その制限条件を満足する関数を扱うのが微分積分学だと認識することがとても大切です。
 しかし、この一番大切な概念を高校2年には教えない。高校3年に至っても「積分可能」の概念を教えていないようです。 
 しかも、1997年からは、日本の高校の数学IIで面積が無定義に用いられという、数学センスを否定する蛮行が行なわれた。そして、関数f(x)のグラフとx軸で囲まれる領域の面積を,x方向で微分するともとの関数f(x)になり、面積の微分がf(x)となるという本末転倒なことを教えるようになった。
 このようなデタラメな教育では、高校生に微分積分が分からないのも無理無いと考えます。

(微分積分の教育方針)
 ヨーロッパやアメリカでは、「高校で微分積分を教えるのは、直観にうったえる内容に限られ、正確な微分積分を教えられない」という理由で、微分積分は大学生に教える科目になっています。
 日本の大学でも、その欧米の教育に合わせて、初めて学ぶ者に分かるように微分積分を改めて教育しているようです。
 大学で使う微分積分の参考書は、高校で教える微分積分の知識を全く知らない学生に理解できるように書かれています。
 しかも、大学生向けの微分積分の参考書の方が、日本の高校生向けの微分積分の参考書よりやさしく分かり易い。

 高校の微分積分を勉強するなら、先ず、大学生向けの微分積分の参考書を読むことを推薦します。高校の微分・積分の教科書は分かりにくいだけで無く、間違いも含まれています。読まない方が良いのではないかと考えます。
 とりあえず、大学生向けの参考書で無料でダウンロードできる、
「微分積分学入門」(横田 壽)
を読んでみることをお勧めします。
(しかし、同じ著者の書いた高校生向けの参考書「確実に身につく微分積分(2012年)」の1版は、内容が劣化しているのでお勧めできません。大学生向けの本物の知識の参考書「微分積分学入門(2004年)」を読んでください。)

「微分積分学入門」(横田 壽)の読み方は、 66ページから始まる2章「微分法」の以前のページは斜め読みして、何が書いてあるらしいかを漠然と把握しておいて、2章「微分法」以降を精読することをお勧めします。読んでいるうちに知らない関数や概念が出てきたら、66ページ以前に書いてありますので、探して、その部分を読んで理解するように勉強してください。

リンク: 
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