高校物理の電磁気

算数の問題と解答とを考えていきます。




2013年02月21日(Thu)▲ページの先頭へ
高校物理:2巻きの超伝導コイルの導線に働く力
 

【問】
 下図のように、2巻きの超伝導コイルに電流が流れていない状態で、磁石を近づけて、磁石による外部磁場の磁束ΔΦをコイルのループ内に侵入させた場合を考えます。

 その2巻きのコイルの導線の間隔(線の中心間の距離)の最大値がdとします。
 このとき、超伝導コイルは電流Iを流して、結局は、コイルを横切る磁束が元通りの0になるようにします。
 そのときに、コイルの2本の導線の間隔がdの位置における、コイル自身の電流による、コイルの導線に単位長さあたりに働く力Fを計算しなさい。

 ただし、この2巻きの超伝導コイルの自己インダクタンスはLとし、導線間隔dはコイルの半径rに比べて十分短い距離であるものとします。
d≪r
(注意)コイルのインダクタンスLは、コイルの巻き数が2程度で小さい場合は、コイルの導線の太さが小さいほど大きくなり、導線の太さによってインダクタンスLが変わります。

【解答】
 この2巻きコイルを横から観察すると、下図のように見えます。

 N巻きのコイルを横切る(コイルの外部からの)磁束Φが、Δtの時間でΔΦ変化すると、N巻きのコイルには誘導起電力E[ボルト]の電圧が
E=−NΔΦ/Δt (式1)
発生します。
(注意)誘導起電力の計算では、コイル自身の電流Iにより発生する磁束は計算に入れない。外部からの磁束のみで計算します。

 この誘導起電力に応じて、以下の式による電流Iの変化ΔIを生じます。
E=−L(ΔI/Δt) (式2)
 式1と式2から、
E=−NΔΦ/Δt=−L(ΔI/Δt)
NΔΦ=L・ΔI
∴ ΔI=NΔΦ/L
 この超伝導コイルには、最初は電流I=0でしたので、
I=ΔI=NΔΦ/L (式3)
です。
 この電流Iによって、コイルの各導線が磁場Hを発生しています。
 コイルの導線の電流Iの近くでは、直線の導線の電流Iが発生する磁場と同じく、
H=I/(2πd)
の磁場を発生しています。
 そのため、コイルの1本の線の電流Iの流れる線が単位長さあたりに、距離d離れて平行するコイルのもう1本の線の電流Iから受ける引力Fは、以下のように計算できます。

この大きさで、コイルのもう一方の導線に引きつけられる力が働きます。
(注意)コイル全体の電流からの力も働きますが、その力は、以下のように、対向して隣接する導線からの力に比べると十分に小さいので無視しました。つまり、遠方のコイルの電流からは、コイルの導線の電流Iの単位長さあたりにμ・I・(2・I/(2r))程度の力が加わります。
(1/r)≪(1/d)なので、その力は、対向して隣接する導線からの力に比べて十分小さいので無視しました。
(解答おわり)

(補足)
 以上の解答で計算した力Fは、dが小さくなればなるほど、(1/d)にほぼ比例して大きくなります。
 その理由は、後に大学で教わることですが、dが小さくなるときの、そのdよりも細い導線を使うべきこのコイルの(導線を細くすることによる)Lの増え方はdの減り方に比べると緩やかなので、結局、dLはdが小さくなるとdと一緒にどこまでも小さい値になります。
 そのため、外部磁場からこのコイルに加わる力もあり得ますが、以上の解答で計算した力Fは、dが十分小さければ、その力も上回ります。d≪rの条件によって、その条件もほぼ満足しています。

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2013年02月20日(Wed)▲ページの先頭へ
高校物理:磁場の中を運動する平行平板
 
 

【問】
 下図のように、紙面に垂直な面の金属の平行平板があり、その両方の金属板を金属線で接続しています。そこに、紙面から紙面の手前に向く磁場(磁束密度B)を加えます。
 そして、その金属の平行平板を、平板の面の方向で磁場に垂直な方向に速度vで運動させます。
 このとき、この金属の平板は電磁場からどのような力を受けるか。
平行平板の面積はSとし、平行平板の間隔をdとする。

【解1】
 先ず、この問題を、平行平板といっしょに運動する運動座標系の観測者から観測される状況に基づいて解きます。
 その座標系で観察すると、下図のように見えます。

 磁場Hが速度Vzで運動するので、誘導電場Exが発生します。
 その誘導電場Exが加わった金属の平行平板とそれをつなぐ金属線は、どこでも電位が同じになるように電荷が移動して空間から加わった誘導電場Exを打ち消す電場を発生させます。
 それにより打ち消される金属板間の電圧は、Ex・dです。そのため、平行平板の両端には、平行平板に電圧Ex・dがあらわれるだけの電荷q=C・(Ex・d)がたまります。

 金属の平行平板には電荷qがたまりますので、その電荷qには、対向する電荷からの電場が加わります。その電場の大きさは以下のように計算できます。
 電荷qには、誘導電場Exと、対向する電荷からの電場とが加わり、その電場の合計が、以下のように、電荷qに力Fを及ぼします。
この大きさの力Fが、平行平板同士を遠ざける方向に加わります。
(解答おわり)

【解2】
 次に、この問題を、磁場と一緒に静止している座標系の観測者の視点で解きます。
(この解き方の方が普通の解き方であると思います)
 その座標系で観察すると、下図のように見えます。

 速度vで運動する金属線に、単位長さあたりに起電力Eが発生します。金属板間の距離dでは、E・dの起電力が発生します。その起電力の電圧E・dが金属板間に加わります。
(磁場中における金属板間の電圧は、観測者の運動座標系が異なれば異なります)
 平行な金属板は容量がCのコンデンサーを成すので、電圧E・dが加われば、その平行金属板に電荷q=C・(E・d)がたまります。
 そうして溜まった電荷は平行な金属板と一緒に速度vで運動しますので、磁場からローレンツ力を、平行平板同士を遠ざける方向に、受けます。

 電荷qには、ローレンツ力と、対向する金属板上の電荷の発生する電場(E/2)からの力を受けます。
 その総和の力を計算すると、以下のようになります。

この大きさの力Fが、平行平板同士を遠ざける方向に加わります。
(解答おわり)

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2013年02月16日(Sat)▲ページの先頭へ
高校物理:磁極間に働く力
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、以下の図のように、電荷qが発生する電場をあらわす式を教わります。

上の電場Eの強さを与える式の表現の仕方は式の見通しを良くする表現方法です
 つまり、係数k=1/(4πε)と書いて、εを用いて係数k=9×10(N・m/C)をあらわすのは、上の式から電束強度D=εEをあらわす式を求める場合に、式をε倍にして係数を(1/(4π))にするだけで、すぐに電束強度を与える式が導けます。単位電荷による、1/(4πr)の電束強度を、半径rの球面積の4πrで積分すれば、単位電荷の全電束量が1になります。

 電場Eから力を受ける(電束を湧き出させる)電荷qに対応させて、磁場Hから力を受ける(磁束を湧き出させる)磁極という概念を考えることができます。その磁極は、電荷qが電場Eから力を受ける法則と対応した、上図に示した力を受ける法則を満足します。
 なお、磁束Φの湧き出し=mです。
 磁束Φが湧き出すのが磁石のN極で、磁束Φを吸い込むのがS極です。

(なぜ、電流Iの単位長さに働く力はIHでなく、μIHなのか)
電荷qに働く力=qE
です。
それなのに、
電流Iの単位長さに働く力=μIH
です。
 この差が出る理由は、
磁場Hというのは磁極(磁束)Φに働く力を与える場だからです。
磁極Φに働く力=ΦH
です。
Φ=μH・(面積)=μ(I/長さ)(面積)
=μ(面積/長さ)I=μ(長さ)I
だから、
力=ΦH=μ(長さ)I・H
そのため、
単位長さあたりの力=μI・H
になるのです。

(答えの検算用の単位の検算表)
(εμ)=(1/速度)
q=I・時間=H・長さ・時間=εE・面積
 =εV・長さ=εΦ・速度
Φ=V・時間=E・長さ・時間=μH・面積
 =μI・長さ=μq・速度
H=εE・速度=I/長さ
E=μH・速度=V/長さ
I=H・長さ=q・速度/長さ=q/時間
 =εV・速度
V=E・長さ=Φ/時間
 =μI・速度
C=q/V=εE・面積/(E・長さ)=ε・長さ
L=Φ/I=μH・面積/(H・長さ)=μ・長さ
LC=εμ・面積=(長さ/速度)=(時間)
力=q/(ε面積)=qE=E(ε面積)
 =εV
力=Φ/(μ面積)=ΦH=H(μ面積)
 =μI
力=μqI/時間=μqH・速度=μIH・長さ
 =μ(q/時間)=q/(ε面積)
 =ε(Φ/時間)=Φ/(μ面積)
 =εΦV/時間=εΦE・速度=εVE・長さ
力=EH・長さ・時間=Eq=ΦH
VI=[電力の]W=EH(面積)=E・(長さ)q/(時間)=力・(速度)

(εとμの思い出し方)
 εとμの値を忘れたが、どうしても思い出したいとき、以下のように計算すれば思い出せます。
 先ず、
電荷間の力の係数k=9×10(N・m/C)=1/(4πε)
は覚えておきましょう。それを覚えていれば、
ε=1/(4πk)
で計算すれば、εが思い出せます。
 次に、光速度c=3×10(m/s)=√(1/(ε・μ))は覚えておきましょう。それを覚えていれば、
=1/(ε・μ)
μ=1/(ε・c)=4πk/c
で計算すれば、μが思い出せます。

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高校物理:コイルの線の近くの磁場の大きさ
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校では、下図のように、
直線状電流がA点に作る磁場の強さと、1巻きコイルに流れる電流がコイルの中心のB点に作る磁場の大きさを教わります。


 それでは、1巻きコイルの、コイルの線からの距離bのC点での磁場の大きさはいくらになると考えられるでしょうか。
 1巻きコイルに流れる電流がコイルの中心B点に作る磁場Hの大きさは、コイルの半径に反比例して、コイルが大きくなるほど小さくなります。
 そのことから、コイルの全電流部分が集まって作る磁場の大きさは、その全電流部分の影響をあわせても、コイルの大きさに反比例する影響しか与えないことがわかります。

 1巻きコイルの結果から推測すると、直線状電流でも、上図のA点からrより十分大きいある距離R以上離れた位置の電流の影響を全部集めても、たかだか、1/R程度の大きさの磁場を発生する影響しか与えられていないだろうと推測できます。
 そして、また、1巻きコイルでも、コイルのC点からbより十分大きいある距離R以上離れた位置の電流の影響を全部集めても、たかだか、1/R程度の大きさの磁場を発生する影響しか与えられていないだろうと推測できます。

 1巻きコイルで、コイルの線からの距離bのC点での磁場Hの大きさは、もし、距離bが1巻きコイルの半径rより十分小さければ、C点から距離bよりある程度大きい距離以内の電流の寄与が大部分と考えられます。
 すなわち、1巻きコイルのコイルの線からの距離bのC点での磁場Hの大きさは、磁場Hを発生するのに寄与する電流部分はbよりある程度大きい部分までを考えれば良く、もし、距離bが1巻きコイルの半径rより十分小さければ、その部分は、直線とほとんんど変わらないと考えられます。
 その場合は、C点の磁場は、真っ直ぐな直線状に流れる電流が、電流からの距離bのC点に発生する磁場Hの大きさと同じと考えられます。

 そのため、1巻きコイルのコイルの線からの距離bのC点での磁場Hの大きさは、もし、距離bが1巻きコイルの半径rより十分小さければ、

H=I/(2πb)

になると考えられます。

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2013年02月14日(Thu)▲ページの先頭へ
高校物理:誘導起電力のおぼえ方
 
 
「高校物理の発想の基本」
 下図のように1巻きコイルに加える磁束Φを時間変化させると、
コイルに誘導起電力Eが発生すると教わります。
(N巻きコイルでは、このN倍の誘導起電力が発生する)
 その誘導起電力Eは、コイルに発生する電圧のことでは無く、仮想的な電源の電圧Eをあらわします。

 仮想的な電源の誘導起電力Eを発生させる磁束Φは、外部磁界がコイルを貫く磁束Φinのみであって、コイル自身に流れる電流が自ら発生する磁束Φは計算に入れません。
(N巻きコイルでは、磁束Φinが発生するN倍の誘導起電力が発生する)
 下の回路図のように、「誘導起電力」という仮想的な電源が回路に電圧や電流を発生するものとして回路図を描くことができます。

 誘導電圧Vは、その誘導起電力Eから、上図の回路のAB間の抵抗r(コイルの内部抵抗も加える)に発生する電圧を計算することで求めることができます。

(注意)
 1巻きのコイルの電流Iが自ら発生する磁束Φself=L・I
です。

 超伝導コイルの場合は、下図のように、外部磁場の変化が、超伝導コイルに誘導電流を流す作用を及ぼしています。

 それは、以下の回路図のように、外部磁場の時間変化が「誘導起電力」を発生し、それがコイルに誘導電流の時間変化を発生させているとして説明できます。
 また、上の計算の結果、1巻きの超伝導コイルの電流Iの変化は、

(コイルに流れる電流lの変化)
=(コイルを貫く外部磁束Φinの変化)/(インダクタンスL)

となります。

(誘導起電力Eは誘導電流の方向でおぼえる)
 誘導起電力は、電圧から考えるよりは、コイルに、どの方向に電流を誘起するかを考えるのが良い。次に、その電流が外部に接続した抵抗に発生する電圧を考えるようにする。
 誘導起電力は誘起する電流の方向(外部磁場の変化を打ち消す電流)でおぼえるとおぼえやすいです


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高校物理:コイルに誘導電圧を発生する磁場はどれ
 
 
「高校物理の発想の基本」
1巻きコイルに加える磁束Φを時間変化させると、
下の図のように、コイルに誘導電圧Vが発生します。
(N巻きコイルでは、このN倍の誘導電圧が発生する)

 誘導電圧Vとは、下図のABの間につないだ抵抗r(コイルの内部抵抗も加える)に発生する電圧のことです。

 ただし、その誘導電圧を発生させる磁束Φは、コイル自身に流れる電流によって自ら発生した磁束Φを含んで計算します。
 上図は、誘導電圧Vが発生するしくみを説明する平面図です。コイルに紙面の裏に向く磁束が侵入してコイルに囲まれる磁束を増そうとします。ここで言う磁束にはコイル自身の電流が発生する磁束も含めた合計の磁束を意味します。
 そうすると、その磁束の運動により、コイルの金属面に平行な電場が発生します。コイルを構成する金属は、金属面に平行な電場を打ち消す電荷分布を生じます。
 コイルの端子の外にあらわれる誘導電圧は、金属の電荷分布が生じる電圧です。その電圧は、磁束の運動が生じる電界(電圧)に逆らう方向(逆方向)になります。


 一方、超伝導コイルでは、下図のように、コイルが自ら発生する磁場Hが大きい結果、コイルの誘導電圧が0になります。

 閉じた超伝導コイルの場合は、コイル自身に流れる電流の発生する磁束が、外部磁束のコイルへの侵入を打ち消しています。それにより、コイルに侵入する磁束が無くなるので、コイルの金属面に平行する電場はあらわれません。そのため、コイルには電荷分布も発生しません。
 外部磁場は、超伝導コイルに誘導電流を流す影響を与えています。
 (超伝導コイルには、外部磁場の変化に逆らう電流が流れます。)

 以上のように、誘導電圧、あるいは誘導電流が外部磁場によってコイルに誘導されます。この外部磁場の作用の、誘導電圧あるいは誘導電流は、仮想的な電源として「誘導起電力」によって発生させられると考えられています。この「誘導起電力」については、次のページで説明します。

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2013年02月13日(Wed)▲ページの先頭へ
高校物理:コイルのインダクタンスの式
 
 
「高校物理の発想の基本」
コイルのインダクタンスの式をおぼえるのが大変な人は、以下のように導くと良い。
 下図のようにコイルのインダクタンスLのエネルギーの式と、単位体積あたりの磁場のエネルギーの式をおぼえておいて、下図のように計算して対応付けます。

 単位体積あたりの磁場のエネルギーの式は上の式で、磁場Hの2乗に比例します。
 それに磁場の存在する体積SYを掛け算すると全磁場のエネルギーが得られます。
 コイルの蓄積するエネルギーは、下の式1のように、コイルのインダクタンスLであらわせます。

 その式1のエネルギーは、その右辺のあらわす全磁場のエネルギーと等しいです。
 両辺が等しいので、右辺を計算していけば、左辺があらわすコイルのインダクタンスLをあらわす式が得られます。

 コイルの磁場Hは、コイルの単位長さあたりの電流密度i。
を式1の右辺に代入して、以下のように計算します。

 この式を式1の左辺と比較すると、式1の左辺のインダクタンスLが得られます。
なお、コイルの断面Sを横切る磁束をΦとすると、
N巻コイルは、
電圧=LdI/dtがdΦ/dtのN倍
になります。

(注意)
 以上で説明したのは、巻き数Nが多く長さYが√Sに比べて長いコイルのインダクタンスLを与える式です。
 コイルの巻き数が数巻き程度で小さい場合は、コイルのインダクタンスLは、コイルの導線の太さが小さいほど大きくなり、導線の太さによってインダクタンスLが変わります。
 また、巻き数Nが小さいコイルは、インダクタンスLは、巻き数Nが増すと、
(1)コイルの間隔がコイルの導線の太さ程度でコイルの導線が密集している場合は、おおむね、1巻きコイルのインダクタンスのN倍程度に増加します。
(2)コイルの間隔がコイルの導線の太さより大きいと、そのインダクタンスLが、おおむね、 1巻きコイルのインダクタンスのN倍程度に増加します。
(3)そして、コイルの長さYが長くなるにつれて、インダクタンスLが、1巻きコイルのN倍よりは小さくなって、多数巻きコイルのインダクタンスLの式に従うようになります。

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高校物理:超伝導コイルをつぶす場合
 
 
「高校物理の発想の基本」
超伝導線で作ったコイルの壁をつぶすと、
下の図のように、コイルが囲む磁束の和が変わりません。
そのため、コイルの中の磁場の密度が高くなります。

 コイルの中の磁場の密度が高くなるので、コイルの磁場を発生する電流密度I’も高くなります。
コイルのインダクタンスLは、コイルの軸方向の断面積Sに比例して小さくなります。
(コイルの巻き数をNとし、コイルの電流密度をiとすると、
L=μ(i/コイル電流)SN
です。)
 コイルが蓄積する磁場のエネルギーは(L・I/2)ですので、インダクタンスLが1/2になっても電流が2倍になれば、
コイルが蓄積する磁場のエネルギーは2倍になります。

 それで、コイルの導線をコイルの内側につぶすには、仕事(エネルギー)をコイルに与えなければなりません。
 結局、コイルの導線をコイルの内側につぶすには、コイルの導線が磁場から外側に押されている力に逆らって仕事をしなければなりません。

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高校物理:コイルの電流Iが受ける力
 
 
「高校物理の発想の基本」
下図の例のように、
電流が、自らの電流密度iが生じる磁界Hから受ける力Fは、外部磁界H/2から受ける力と同じです。


 電流Iが、自らの電流密度iの生じる磁場Hから受ける単位長さあたりの力fは、外部磁界H/2から受ける力と同じ。
 コイルの導線面は、単位面積pあたり、上式の力(圧力)を受ける。

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高校物理:コンデンサの電荷qが受ける力
 
 
「高校物理の発想の基本」
下図の例のように、
電荷密度qが、自ら生じる電界Eから単位面積あたりに受ける引力fは、外部電界E/2から受ける力と同じです。

 電荷密度qが、自ら生じる電場Eから単位面積あたりに受ける引力fは、外部電界E/2から受ける力と同じ。
 コンデンサーの電極面は、単位面積あたり、上式の力(引力)を受ける。

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2013年02月11日(Mon)▲ページの先頭へ
高校物理:電場と磁場をバランスさせる
 
 
「高校物理の発想の基本」
以下の図のような場合に、運動する電荷に対して、電場と磁場の力をバランスさせて力を打ち消すことができます。
 以下の図で、磁場は紙面の裏側に向けて紙面に垂直にかかっているものとします。

この場合に、この電荷と同じ速度で運動する座標系でこの電荷を見たら、以下の図のように見えます。
(磁場Hが運動すると誘導電場Eが生じる現象は、「電磁場のローレンツ変換」の公式であらわされます。この公式の理論は大学の2年生以上にならないと学ばないようです。)
 電荷が静止して見える座標系では、運動する磁場が発生する電場がもともとあった電場を打ち消す結果、合計した電場が0になります。
 その結果、上下の金属板間の電圧も0になります。電圧は、運動座標系が異なれば異なって見えます。

【蛇足】
 なお、もともとあった電場も運動することで発生する新たな磁場ΔHの大きさを計算すると、相対性理論による磁場Hの大きさの誤差程度の磁場ΔHの値になります。
 誤差範囲内の値なので、この値が元の磁場Hに加わるかどうかは、何とも言えません。正確な事実を知りたい人は、大学でアインシュタインの相対性理論の電磁場への適用を勉強して下さい。
(磁場Hが運動すると誘導電場Eが生じる現象は、「電磁場のローレンツ変換」の公式であらわされます。この公式の理論は大学の2年生以上にならないと学ばないようです。)


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2013年02月08日(Fri)▲ページの先頭へ
高校物理:金属が誘導電圧を発生する向き
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、以下の図のように、「磁場の中を運動する導線に誘導起電力が発生する」という現象を教わります。

この法則の磁場の方向と運動の方向と誘導起電力の方向の関係をおぼえなければなりませんが、以下のように、この現象の本質を良く知ると、この現象を覚えやすくなります。
 まず、導線を動かさないで、磁場の方を導線に対して動かしたら誘導起電力が発生するか?という疑問がわくと思います。
事実は、その通りに、下図のように、運動する磁場によって誘導起電力が生じます。

しかも、誘導起電力を生じるのは運動する磁場なので、そこに導線が無くても誘導起電力を生じます。

 単位長さあたりの起電力が生じるということは、局所的な誘導電場Eによって電荷が動き、電流が生じることを意味します。
 実は、最初の図で、運動するのが導体で無くて絶縁体であっても、その運動する絶縁体に局所的誘導電場Eが加わります。

 誘導起電力の原因は、磁場と物体の相対運動により局所的誘導電場Eが生じることにあります。その局所的な誘導電場Eによって電荷が動き、電流が生じます。
 局所的な誘導電場E(V/m)により電荷が移動する方向(誘導電場Eの方向と同じ方向)をx方向にし、磁場Hの方向をy方向にして、磁場の運動する速度vの方向がz方向であると覚えれば、誘導起電力Eが電流を流す方向と磁場Hと運動速度vの関係がおぼえられます。

(注意)
 誘導起電力の発生する方向は間違えやすいので、注意する必要があります。
 上図のように、誘導起電力の局所的誘導電場Eが図の上向きに発生するので、単位電荷が上向きに移動されられて電流が発生します。その局所的誘導電場Eは下から上を向くので、その空間の下側の電圧が高くて、上側の電圧が低いです。
 それでは、金属棒の上端から下端に向けて発生する誘導電圧はプラスの電圧になるでしょうか。空間の局所的誘導電場Eの上側の電圧が下側よりも低かったので、マイナスの電圧になる?
 この答えは、金属棒の上端がプラスの電圧が金属棒から出るというのが正解です。
 それでは、空間の局所的誘導電圧がそれと逆というのはどういうことでしょうか。事実、この空間に金属棒のかわりに絶縁体をおいたら、たしかに、下側がプラスで上側がマイナスの誘導電圧Eが絶縁体に加わるのです。

 この矛盾の原因は、金属が絶縁体とはちがって、電荷が移動できることにあります。
 磁場Hの中の金属は、磁場Hが発生する局所的誘導電場Eによって、電荷を移動させられて、プラスの電荷を上に集め、マイナスの電荷を下に集めます。そうして電荷のかたよりを生じたら、その電荷が上から下に向けて電場を発生するので、その電場が、空間から加えられた局所的な誘導電場Eを打ち消して、金属内では、どの部分も同じ電位になります。
 磁場Hの中の金属には電圧があらわれていないのです。

 金属が外に出す電圧は、金属が磁場Hの外に出たところで発生します。もっとも、電圧が発生すると言うよりは、金属内の電位差(電圧)を0にしていた一方の当事者であった空間の誘導電圧が、磁場Hの領域の外側で消えるので、金属の電荷のかたよりが生じていた電圧だけがあらわれます。

 そのように、金属は誘導電圧に逆らった電圧を外に出すので、金属が磁場Hの存在領域の外で出す電圧(誘導された電圧とも言う)は誘導電圧とプラスマイナスが逆になります。

(注意2)
 磁場Hの存在する領域内では、電圧の測定点が属する運動座標系の運動速度が異なると、電圧の大きさが異なることに注意する必要があります。
(磁場Hが存在しない領域では、運動座標系でも静止座標系でも電圧が同じ)
 磁場H中の金属といっしょに運動する運動座標系において、金属の2点間の電圧を測ったら、0になります。

 しかし、金属といっしょには運動しない静止座標系に測定点が固定されている(測定点は金属といっしょには運動しない)電圧計で、その金属上を測定点を移動させながら、金属の2点間の電圧を測定したら、その測定電圧は0ではありません。その理由は、磁場H中を運動する金属には電荷のかたよりがあり、静止座標系に固定された電圧計は、その電荷のかたよりが生じる電圧を測るからです。
 この「電圧」の測定の解釈において、「電圧計の測定用リード線にも電圧が誘導するのだから、真の電圧は、運動する電圧計ではなく静止する電圧計で測定したい」と考える人がいるかもしれません。しかし、電圧計のリード線が静止して見える運動座標系から見たら、電圧計のリード線は運動していないので、それには電圧が誘導していないと言えます。「静止している」という状態は、特定の運動座標系を基準にして静止しているのであって、異なる運動座標系から見たら、それは静止していないからです。

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2013年02月06日(Wed)▲ページの先頭へ
高校物理:電流は運動座標系でも静止座標系と同じ
 
 
「高校物理の発想の基本」
 静止座標系で観察した場合と、運動座標系(あるいは加速度座標系)で観察する場合とで、変化する物理量と変化しない物理量があります。
 そのように、座標系を変化させたとき、どの量は変化しないで、どの量は変化するかを、しっかり整理しておいて、自由に頭を切り替えて座標変換した結果を想像できるように、頭を整理しておく必要があります。
 そこで、以下では、電流が座標変換によって変わるかどうかを考えます。
 電流Iは、電荷が中和された、以下のようなものとして考えます。

 電荷qと反対符号の電荷−qが中和して電荷が0になっていて、そして、逆符号の電荷が逆方向に運動することで電流が発生します。このような運動する電荷の対が電流であると考えます。

 2番目の図のように、この電荷の対の電流を、右側に速度aで運動させた場合を考えます。
 すると、電荷qの速度はV+aになり、電荷−qの速度はーV+aになりますので、結局、総体としての電流Iの大きさは変わりません。
 すなわち、電流Iは、運動座標系でも静止座標系でも変わらない物理量です。
 それで、電流については、静止座標系でも、運動座標系でも、等加速度系でも変わらない量として扱えます。
 回転座標系では、電流の方向は変わりますが、電流の大きさは変わらないものとして扱えます。

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高校物理:電界の計算式の適用限界
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理で教わる電磁気は、アインシュタインの相対性理論を組み込んだ正確な式からの誤差がありますので、その式の適用には限界があります。

 上図のように、電荷qが分布した線同士が平行な方向に速度Vで運動すると、その電荷線同士には磁界による力が働きます。
 上の計算で、
εμ=1/(光速度)
という関係を使いました。

 一方、その線同士は電荷を持っているので、その電荷同士に電界による力(第1項)が働きます。
 電荷が運動すると、その電荷が生じる電界の大きさが(運動速度/光速度)の2乗程度の大きさで変化します。これを正確に知るには、大学で相対性理論を学ぶ必要があります。

 その電界により電荷に働く力(第1項)の、速度Vによる相対論効果による変化が、その磁界による力(第2項)程度あります。

 そのため、上図のような事例で、電荷が自らの運動で発生する磁界による相手の電荷との相互作用を、電界による相互作用と合わせて正確な力を求めようとすると、電界による相互作用の力の誤差が多きすぎて、上の式が使えなくなってしまいます。

 高校で教わる電磁気の式は、電界に限らず磁界についても、(運動速度/光速度)の2乗程度の誤差があります。上図のような特殊な事例を考えるときは、その誤差が無視できなくなります。


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高校物理:回転する電荷は磁界を発生する
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、以下の図のようにコイルに流れる電流が発生する磁界Hの式を教わります。

 コイルに発生する磁界Hの大きさは、コイルに流れる電流Iのコイルの軸方向の単位長さあたりの電流密度(I/g)と等しいことを教わります。
 その式は、(高校では教わらない)微少電流部分毎が発生する磁界の式(ビオサバールの法則)を使って計算すると導け、以下の式が計算できます。

 (コイル内部の磁界H)=電流I/g

となり、コイル内部に発生する磁界Hの大きさは、コイルに流れる電流Iのコイルの軸方向の単位長さあたりの電流密度(I/g)になるという結果が得られます。

 次に、上図のように、コイルの軸方向から見た図で、コイルの電流Iと磁界Hの関係を考えます。
 電流Iは、間隔sで並べた電荷qが速度Vで運動することも電流Iが流れることと同じと考えることができます。
 同じ符号の電荷が集まるので、コイルから電界が発生しますが、その電界はコイルの内側には入らないので、このモデルで電流を模擬できていると考えます。

 しかし、上図のように、その電荷qの運動が止まって見える角速度ωで回転する座標系の観測者が見たら、磁界Hはどうなるでしょうか。電荷qが止まっているので電流が無いのです。
 この場合、見落としてはいけないことは、その観測者から見ると、電荷は止まって見える一方、電荷が回転しているように見えます。
 回転している電荷は磁界を発生します。その磁界が集まって、結局、コイルの中には、座標系が回転していないときと同じ強さの磁界Hが発生します。


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2013年02月05日(Tue)▲ページの先頭へ
高校物理:磁場の中で回転する金属棒
 
 
【問1】
 下図のように、紙面に垂直で紙面から手前に向く磁場Hが下図で示す所定領域に一定の強度で存在する場合を考える。
 その磁場Hの存在する領域の境界線の位置の点Oに片端を固定した長さrの金属棒(先端が点A)を点Oのまわりに紙面の平面中を左回りに一定の角速度ω(rad/s)で回転させる。
 その場合に、
(a)金属棒が磁場Hの領域内にある時と、
(b)磁場が無い領域に出た瞬間との、
先端の点Aの根元Oに対する電圧はいくらか。

【解答】
 この問題を、固定した金属棒に対して、磁場Hが紙面の平面中を右回り角速度ω(rad/s)の速度で回転する問題として考える。
 その場合に、下図のように、磁場の運動により発生する電場Eの方向をxにし、磁場Hの方向をy方向にし、磁場の運動速度Vの方向をz方向にあてはめることができる。

金属棒の根元の点Oから距離xの位置の磁場Hの存在領域での電圧は、その位置の磁場H方向をY軸の方向にあてはめ、その磁場の運動速度Vの方向をZ軸の方向にあてはめると、残りのX軸の方向が、磁場Hの運動で発生する電場Eの方向になります。
 そのため、電場Eの方向は、点Oから遠ざかる方向を向きます。その電場Eの強さは、
E=ωxμH
です。

 ただし、磁場Hの存在する空間には、その大きさの電場Eを生じていますが、その空間に金属棒を置くと、その金属棒上の異なる点の間に電圧があると、その電圧の差を打ち消すように金属棒の電荷が移動します。結局、金属棒上のあらゆる位置が等電位になり、金属棒上の異なる点の間には電圧があらわれません。
 よって、(問a)の答えは、金属棒が磁場Hの領域内にある時、金属棒の先端の点Aの根元の点Oに対する電圧は0です。

 しかし、そのA点とO点の間に金属棒が無ければ、その点の間には電位差があってO点の方が電場Eの根元なのでA点よりO点の電圧が高い電圧が発生しています。
 金属棒は、金属棒中に電荷の分布を生じさせることで、その空間にある電圧を打ち消す電圧を発生させています。
 金属棒は、その根元の点Oに対して先端の点Aの電位が高くなるように電荷を分布させて、空間の電位分布を打ち消しています。
 その打ち消した空間の電圧は、以下の式で計算できます。

(金属棒の電荷分布が打ち消した空間の電圧)は、
ωμH・r/2  (式1)
になります。
 磁場Hの存在する空間の位置の電位は、点Oからの距離rの円周上のどの点でも同じ電位であって、この値のマイナスの値です。
 (磁場Hの存在しない空間の位置の電位は0です。)
 一方、金属棒は、電荷を金属棒の両端に集めて、金属棒の位置では、その空間の電圧を打ち消しています。

(問b)
 この空間の電圧を打ち消す電荷の分布を持った金属棒が、磁場が無い領域に出た瞬間を考えます。
 特に、金属棒に生じた電荷の分布がまだ変化できない、ごく短い時間での金属棒の持つ電位を考えます。その電位は、以下の図で考えられます。

このように金属棒が磁場Hの存在領域の外に出た場合は、それまで金属棒の電荷分布が打ち消していた空間の電圧が無いので、その空間における金属棒のA点とO点の間の電圧は、金属棒の生じた電荷分布だけで発生されます。
 よって、(問b)の答えは、金属棒が磁場Hの領域の外に出た瞬間は、金属棒の先端の点Aの根元の点Oに対する電圧は、
ωμH・r/2  (式1)
になります。

(注意)
 本問で扱った、運動する磁場Hによって空間に生じる誘導電場Eは、磁場Hに比例する強度で発生し、磁場Hの存在する領域にしか存在しません。
 誘導電場Eは、静止電荷の組み合わせによっては作ることができない局所的な電場です。
 そして、その局所的な電場は磁場の存在領域の外で消滅します。
 誘導電場が、金属に、その誘導電場を打ち消すように電荷分布をさせた上で、その誘導電場が磁場Hの領域の外で消えることで、磁場Hの外の領域で金属の電荷部分が電圧を発生させます。

【別解】
 この問題を、静止座標系で観察したらどう見えるかを考えてみます。
 静止座標系では、運動しているのは金属棒であって、磁場は運動していません。
 そして、静止座標系では、磁場の運動が無いので空間に電場が発生していないように見えます。

 しかし、金属棒を磁場に対して動かすと、金属棒中の電荷が分離して、金属棒中で電荷のかたよりを生じます。そうなる理由は、金属中の電荷は、磁場の中を運動することでローレンツ力を受けて、その位置を移動させられるからです。ローレンツ力を受けた電荷は、電荷の分布をかたよらせることで、そのかたよった電荷が生じる力がローレンツ力とバランスすることで安定します。

 単位電荷に加わるローレンツ力は、電荷を加速して電流を生じる局所電場に等価な、電流を発生する起電力であると考えられます。その起電力を、金属棒の根元Oから先端Aまで積分すれば、金属棒に生じる総起電力が得られます。
 その起電力の計算は、先の解で計算したように計算できます。その計算の結果、金属棒の先端Aから金属棒の外につながる導線に、以下の式1の電圧で電流を流そうとする起電力が、金属棒に蓄えられます。
ωμH・r/2  (式1)
 この起電力は金属棒が磁場Hの中を運動している間、維持されます。
 しかし、金属棒が磁場Hの中を運動している間は、金属棒の先端Aが、空間から受けるローレンツ力を受けて電荷をかたよらせようとして、金属棒の先端Aに接続する導線からも電流を金属棒に引き込もうとします。
 そのため、磁場Hの中では、金属棒は、金属棒に対して相対的に静止している導線に対しては、蓄えられた起電力が電流を流し出すことができません。

(注意)
 金属棒に対して相対的に運動する導線に対しては、金属棒は、その相対運動に応じて、プラス方向にもマイナス方向にも電流を流すことができます。
 その理由は、静止座標系と運動座標系とで誘導電場の大きさが異なるからです。

(問a)の答え
 金属棒の先端Aの根元Oに対する電圧とは、電荷を、根元Oから先端Aまで引き上げる際に単位電荷あたりにしなければならない仕事量です。

 その電圧の定義には、金属棒が自ら発生する電圧以外に、その空間が電荷に加える力とが合わさっています。磁場Hの中を金属棒が運動している間は、電荷が金属表面を、根元Oから先端Aまで移動するのに必要な仕事は、金属棒が自ら発生する電圧により単位電荷に加わる力とローレンツ力により単位電荷に加わる力の合計の力=0の力に逆らって移動する仕事です。そのため、電荷の移動に必要な仕事量は0です。そのため、単位電荷の移動に要する仕事量で定義した、金属棒の先端Aの根元Oに対する電圧は、0です。

(注意)
 単位電荷を金属棒の表面に接して金属棒とともに運動しつつ金属棒の先端まで移動する仕事量は0ですが、単位電荷が金属に触れず、また、金属と一緒に運動もせず、O点近くからA点近くまで一瞬に移動する場合にその単位電荷のする仕事量は0ではありません(問bの答えとおなじになります)。その仕事量に相当する電圧は、金属棒の表面に接して金属棒上をO点からA点まで同じ軌道を移動する仕事に相当する電圧と大きく異なります。同じ位置間の電圧なのに、電圧が異なるのです。
 この違いは、仕事量を測定するために用いた電荷の属する運動座標系が異なることに原因があります。電圧を生じる電場の大きさは、静止座標系と運動座標系とで異なるからです。本問の例のように、同じ位置間の電荷の移動であっても、その位置の属する運動座標系が異なれば、その位置間の電圧が異なります。電圧は、位置だけで定まるものでは無く、その位置の属する運動座標系も定めなければ電圧の値は確定しません。

(問b)の答え
 金属棒が磁場Hを出た瞬間も、金属棒中の電荷のかたよりが、すぐには消えずに残っていて、金属棒の先端Aに、金属棒の外に電流を流そうとする電圧が残っています。
 金属棒の先端Aの根元Oに対する電圧は、電荷を、根元Oから先端Aまで引き上げる際に単位電荷あたりにしなければならない仕事量で定義されます。金属棒が磁場Hを出た瞬間は、もはや空間が電荷に力を加える起電力がありませんので、その電圧は、金属棒が自ら発生する電圧のみです。


 そのため、電荷が金属表面を、根元Oから先端Aまで移動するのに必要な仕事は、プラスの電荷がAにたまって発生する逆向きの電場から加えられる力に逆らって電荷が仕事をしなければなりません。その仕事の大きさは、その金属棒に蓄積された電荷の生じる電場が発生する電圧と電荷の積です。
 その、金属棒に蓄積された電荷の生じる電場は、磁場Hの領域内にある間は、空間の誘導電場に逆らって誘導電場を打ち消していました。そのため、その金属棒に蓄積された電荷の生じる電圧は、空間の誘導電場の生じる電圧とプラスマイナスが逆になります。
 それゆえ、金属棒の先端Aの根元Oに対する電圧は、
ωμH・r/2  (式1)
です。

【長い導線を金属棒に加えた場合を考えます】
 1つの導線Lの一端が金属棒のA点に接続し他端が磁場Hの存在領域の外まで出ていて、もう1つの導線Nの一端が金属棒のO点に接続し他端が磁場Hの存在領域の外まで出ているモデルを考えます。

 そのモデルでは、磁場Hの存在領域の外では、金属上の電荷の分布による電圧が、磁場Hの領域の外の2つの導線LとNの間に発生します。
 その金属上の電荷の分布は、金属の属する運動座標系において空間が金属の位置に生じていた局所的誘導電場によって金属の電荷が移動させられることで発生していたものです。
 その電荷移動を引き起こした局所的誘導電場は、磁場Hの存在領域の外では全く観察されません。その局所的誘導電場は、磁場Hの中で金属の電荷を移動させる役割を果たしたら、磁場Hの外には現れずに役目を終えるのです。
 その局所的誘導電場は、電流を発生させる電源の役割を持ちます。その局所的誘導電場が、金属棒に発生した起電力(というより、磁場Hの領域内に存在する金属棒と導線との全導体に発生した起電力)の原因です。


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高校物理:回転する磁場中の電荷に加わる力
 
 
【問】
 下の図のように回転する棒の、回転中心から半径rの位置に固定された電荷qがあります。

以下の図のように、この棒と一緒に回転して棒が静止して見える観測者から見て、棒に固定された電荷qに電磁界から加わる力をもとめなさい。
【解答】
 上の図のように棒が静止しているようにみえるとき、磁界が運動しているように見えます。上図に書いた座標系のように、z方向に速度Vで運動する磁界Hは電界Eを発生します。発生する電界がx方向の場合、磁界の方向がy方向で、磁界の運動方向がz方向に対応します。
 そして、上式のように、速度V=ωrを使った大きさの電界Eが、回転の中心から遠ざかる方向に加わります。そこにある電荷qには、回転の中心から遠ざかる方向の力が、
qωrμH
の大きさで加わります。

【別解】
 この問題は、棒といっしょに回転する観測者になって力を観測しないでも、ローレンツ力の法則を使って解けます。(そのようにして解く方が普通の解き方でもあります。)

 すなわち、上図のように、電荷qと速度Vの積のベクトルをx方向に対応させ、磁場Hの方向をy方向にし、運動する電荷に働く力の方向をz方向にした座標系を使って、ローレンツ力の方向がわかります。
 電荷qと速度Vのベクトルの積の方向をx方向にします。また、磁界の方向(紙面から手前に向く方向)をy方向とします。その座標系のz方向を、ローレンツ力Fに対応させます。
 そうすると、ローレンツ力Fの方向は、回転中心から遠ざかる方向になります。
 それで、電荷qには、その回転中心から遠ざかる方向に、大きさが
qωrμH
のローレンツ力が加わります。

 物体に加わる力は、別の速度(あるいは加速度)で運動している運動座標系で観測しても、同じ力になります。
 そのため、棒といっしょに回転運動している観測者が観察しても、 このローレンツ力と同じ大きさの力が電荷qに加わることが、観測できます。


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2013年02月04日(Mon)▲ページの先頭へ
高校物理:磁場の中で回転する棒に発生する電圧
 
 
【問1】
下図のように、紙面に垂直で紙面から手前に向く磁場Hがあり、点Oに片端を固定した長さrの絶縁体棒(先端が点A)を点Oのまわりに紙面の平面中を左回り角速度ω(rad/s)の速度で回転するとき、棒の先端の点Aと点Oの間に電圧が発生する。このとき、棒の先端の点Aの、点Oに対する電圧を計算しなさい。

【解答】
 この問題を、固定した棒に対して、磁場が紙面の平面中を右回り角速度ω(rad/s)の速度で回転する問題として考える。その場合に、下図のように、磁場の運動により発生する誘導電場Eの方向をxにし、磁場Hの方向をy方向にし、磁場の運動速度Vの方向をz方向にあてはめることができる。

棒の根元の点Oの、先端の点Aに対する電圧は、棒の各部に発生する電場Eが棒の根元から先端の方向を向いているなら、電場Eのベクトルに根元側の方が電位が高いので、その電場Eの棒の長さ方向への積分で計算できる。それは、以下のように計算できる。
(答え)
 棒の先端の点Aの、点Oに対する電位は、−(棒の根元の点Oの、先端の点Aに対する電圧)なので、
−ωμH・r/2  (式1)
になる。

(注意)
 この電位は、棒といっしょに回転する運動座標系の空間の位置にあらわれる電位であって、点Oから半径方向の距離rの円周上のどの点でも、同じ電位です。

(注意2)
 ただし、磁場Hの存在する領域では、運動座標系が異なれば、誘導電場と、それを距離積分した電圧とが異なります。静止座標系で見ると、その静止座標系の空間のどの位置でも電位が0になります。

【問2】
 棒が金属棒の場合は、棒の先端の点Aの、点Oに対する電圧はどうなるか。

【解答】
 金属の棒は、その棒に電場が加わると、その金属の表面に平行な電場を打ち消す方向に電荷を移動させて電荷のかたよりを生じさせます。
 そうして電荷を棒の両端に集めます。それにより、棒に平行な電場が打ち消されるので、その棒の端から端まで電位が同じになります。
 その結果、棒が金属の場合は、棒の先端の点Aの、点Oに対する電圧は0です。

(注意)
 棒といっしょに運動する運動座標系の観測者から見ると、その座標系に対して相対運動をする磁場により空間に電場が発生します。その電場が金属棒に加わると、金属棒の電荷が移動して、式1で与えられていた電圧を打ち消して、金属棒の両端間の電圧が0になります。電場中でも、その金属が静止して見える観測者から見ると、金属のどの位置も電位が同じで、位置による電位差が無いように見えます。
 金属表面の電位が等電位になるのは、金属棒に電荷のかたよりを生じることで外部電場の影響を打ち消したからです。

【問3】
 下図のように、磁場H(紙面に垂直で紙面から手前に向く)が所定の存在領域にのみ一定の強度で存在する場合を考える。

 その磁場Hの存在する領域の境界線の位置の点Oに金属棒の根元のO点を設置する。金属棒の長さはrであり、その長さrの金属棒(先端が点A)を点Oのまわりに紙面の平面中を左回りに一定の角速度ω(rad/s)で回転させる。
 更に、その金属棒の先端のA点に、磁場Hの存在する領域では、O点を中心とする半径rの円弧を描く形の金属導線Lを接続して、その金属線Lの端を、磁場の無い領域の点Bまで引き出します。
 また、金属棒のO点の位置から磁場Hが無い領域を走行する金属線Nを接続してその端を、点Bの近くの点Cまで引き出します。
 この場合、点Bの点Cに対する電位はいくつか。

【解答】
 問2で、金属棒のA点とO点の電位が同じだったのは、A点とO点の間に加えられた電場と、A点とO点の間の電荷のかたよりにより生じた電場とが打ち消しあったから生じた現象でした。
 一方、その点Aに電気接続する金属線Lは磁場Hの存在領域では、磁場Hの運動方向に平行な方向にのみ走行するので、運動する磁場が生じる電場に垂直方向なので、その部分に電場が加わることがありません。
 その磁場Hの領域を出て磁場Hの存在しない領域を走行する部分には、そもそも電場が加わりません。
 金属線Nは、磁場の存在しない領域を走行するので、その部分に電場が加わることがありません。

 磁場Hの存在する空間には、運動する磁場Hが電場Eを生じていますが、その空間に置いた金属棒では、その金属棒上の異なる点の間に電圧があると、その電圧の差を打ち消すように金属棒の電荷が移動します。結局、金属棒上のあらゆる位置が等電位になり、金属棒上の異なる点の間には電圧があらわれません。
 すなわち、金属棒は、その根元の点Oに対して先端の点Aの電位が高くなるように電荷を分布させて、空間の電位分布を打ち消しています。
その金属棒の電位は、磁場Hの存在する領域では、O点からA点と金属線Lの、磁場Hの存在領域の境界線に至る位置まで0電位です。その金属棒と金属線の電位が0であるのは、磁場Hが存在する空間が発生させる電位(A点とO点の間に空間から加えられた電場により生じる電圧)を、金属棒と金属線Lに生じた電荷の分布によって打ち消しているからです。

 ところが、その金属線Lが、磁場Hの存在領域の外に出ると、空間から加えれていた電圧が0に変わります。磁場Hの存在領域では、金属の電荷の偏りにより生じていた電圧と、空間が生じる電圧がちょうど打ち消しあって0になっていたのに、磁場Hの存在領域の外に出ると、空間から加わる電圧が突然に0になります。
 すると、磁場Hの存在量領域の外に出た部分では、空間から加えられる電場が無いので、この導体系に、電荷の偏りによって生じた電圧のみがあらわれます。すなわち、A点とO点の間に加えられた電場を打ち消す電圧があらわれます。その後の金属の電位は、磁場Hの外で接続する金属部分が等しい電位になります。結局、磁場Hの存在領域の外のB点とC点の間には、A点とO点の間に空間から加えられた電圧を打ち消す大きさの電圧があらわれ、C点に対するB点の電位は、
(答え)
ωμH・r/2  (式2)
になります。

(注意)
 本問のように、磁場Hが運動することで空間に発生する電場Eは、磁場Hの存在領域のみに限られている局所性があります。
 そして、磁場Hが存在しない領域では空間が発生する電場Eがありません。
 その局所性のある電場Eは、静止電荷を組み合わせては作れません。
 そのため、磁場Hの存在領域から金属線が出たとたんに、金属線の電荷の偏りにより発生する電圧を打ち消す空間電圧がいきなり消え、その結果、金属線に電圧があらわれました。

 この誘導電場の持つ局所性が、本質的に重要です。


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高校物理:磁場をあらわす基本的式
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、以下の図のように、電荷qが発生する電場をあらわす式を教わります。

上の電場Eの強さを与える式の表現の仕方は式の見通しを良くする表現方法です
 つまり、係数k=1/(4πε)と書いて、εを用いて係数k=9×10(N・m/C)をあらわすのは、上の式をε倍にして分母のεを消すだけで、すぐに電束強度の式が導けます。単位電荷による、1/(4πr)の電束強度を、半径rの球面積の4πrで積分すれば、単位電荷の全電束量が1になります。

 しかし、その電荷が運動することで発生する磁場をあらわす式(ビオサバールの法則)はおそわりません。これは、高校で教わらないので、大学の入試には出ないのですが、電磁気を研究するのに無くてはならない知識ですので、以下で説明します。試験には出ませんので、ざっと読むだけで充分と思います。
 電荷が発生した電場Eが速度vで運動すると、下図の座標の図に従って、磁場Hが生じます。

電荷q×(速度V)=電流I×(電流素片の長さΔx) (式1)
 という関係を頭において、速度Vで運動する電荷qを、電流Iの素片Δxにおきかえて考えると、それが発生する磁場の式が、以下のビオサバールの法則であらわされます。

このビオサバールの法則を使うと、円周上を流れる電流Iが円の中心に発生する磁場Hの大きさが、以下のように求められます。
また、ビオサバールの法則を使って、直線上を流れる電流Iが直線から半径rの位置に発生する磁場Hの大きさが、以下のように求められます。

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2013年02月03日(Sun)▲ページの先頭へ
高校物理:やさしいローレンツ力のおぼえ方
 
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、磁場の中を運動する電荷に加わる力(ローレンツ力)を教わります。ローレンツ力は、以下の図のように書くとおぼえやすいです。

 ローレンツ力の、磁場の方向と、(電荷×運動速度)の方向と、力の方向、の関係は、磁場の中を運動する電流に加わる力の関係をあらわす座標系と同じ座標系を使っておぼえられます。

 すなわち、電流に相当する、電荷と速度の積のベクトルをx方向にし、磁場Hの方向をy方向にし、運動する電荷に働くローレンツ力の方向をz方向にした座標系を使って、ローレンツ力の方向をおぼえることができます。

【電荷が静止して見える運動座標系の場合】
 このローレンツ力は、電荷とともに運動して、電荷が静止して見える運動座標系の観測者から見たらどう見えるでしょうか。
 その運動座標系では、以下の図のように、運動する磁場Hが誘導電場Eを発生させます。
(磁場Hが運動すると誘導電場Eが生じる現象は、「電磁場のローレンツ変換」の公式であらわされます。この公式の理論は大学の2年生以上にならないと学ばないようです。)
 その誘導電場Eが、静止電荷qにローレンツ力と同じ大きさの力を同じ方向に加えます。



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2013年02月02日(Sat)▲ページの先頭へ
高校物理:やさしい誘導起電力のおぼえ方
 
「高校物理の発想の基本」
高校物理の電磁気で、以下の図のように、「磁場の中を運動する導線に誘導起電力が発生する」という現象を教わります。

(誘導起電力Eは誘導電流の方向でおぼえる)
 誘導起電力は、電圧から考えるよりは、金属線に、どの方向に電流を誘起するかを考えるのが良い。次に、その電流が外部に接続した抵抗に発生する電圧を考えるようにする。
 誘導起電力は誘起する電流の方向(外部磁場の変化を打ち消す電流)でおぼえるとおぼえやすいです。

 「誘導起電力」が発生するメカニズムは、以下に説明する誘導電場が電荷に力を及ぼすことで電流を発生し、その電流が誘導起電力の元になります。

 磁場の存在領域にのみ局所的に電場(誘導電場)が発生して、その電場の方向に電荷を加速します。そのため、その電流の流れる先に電圧を発生します。
 この局所的電場Eの方向と、磁場の方向と金属線の運動の方向との関係をおぼえなければなりませんが、以下のように、この現象の本質を良く知ると、この現象を覚えやすくなります。
 まず、導線を動かさないで、磁場の方を導線に対して動かしたら誘導電場が発生するか?という疑問がわくと思います。
事実は、その通りに、下図のように、運動する磁場によって誘導電場が生じます。

しかも、誘導電場を生じるのは運動する磁場なので、そこに導線が無くても誘導電場を生じます。

 実は、最初の図で、運動するのが導体で無くて絶縁体であっても、その運動する絶縁体に誘導電場が生じます。
(磁場Hが運動すると誘導電場Eが生じる現象は、「電磁場のローレンツ変換」の公式であらわされます。この公式の理論は大学の2年生以上にならないと学ばないようです。)
 単位長さあたりの誘導起電力=局所的誘導電場Eです。

 誘導起電力の原因は、結局のところ、磁場と物体の相対運動により局所的誘導電場Eが生じ、その局所的誘導電場により電荷が加速されて誘導電流を生じることを意味します。
 そのため、誘導電場E(V/m)が生じる方向をx方向にし、磁場Hの方向をy方向にして、磁場の運動する速度vの方向がz方向であると覚えれば、誘導電場Eと磁場Hと運動速度vの関係がおぼえられます。

 この関係の座標系は、誘導電場Eをx方向の電流に置き換えれば、vに対応するz方向を、電流に働く力の方向をあらわす関係をあらわす座標系としても同時に使えますので、覚えるために便利な座標系だと思います。



(補足)
 運動する磁場Hが誘導電場Eを生じます。運動する磁場Hによって誘導電場Eを生じている状況で、導線がその磁場Hと同じ速度で運動したらどうなるでしょうか。
 そこに運動する磁場Hがあっても、観測できるのは、磁場の運動では無く、静止しているように見える磁場の強さと誘導電場Eの強さだけです。その状況に対して、導線が運動したらどうなるか、という観点で、以下のように考えることができます。
 その場合は、導線にとっては、磁場Hが逆方向に運動するように見えるので、その方向に運動する磁場Hが、導線が静止した状況では存在する電場Eを打ち消す方向の第2の誘導電場Eを発生します。結局、磁場Hと同じ方向に同じ速度で運動する導線には誘導電場Eが打ち消されて0になります。
 すなわち、磁場Hも導線も同じ速度で運動する場合は、互いの相対速度が0ですので、導線には誘導起電力(誘導電場)が生じないはずですが、その通りになりました。

(補足2)
 大学の入試には出ないのでおぼえなくても良いですが、
実は、電場Eが速度vで運動しても、上図の座標の図に従って、誘導磁場Hが生じます。

 上図の座標系にしたがって誘導磁場Hが生じるということは、運動する電場Eに対して、生じる誘導磁場Hの方向は、磁場Hによって誘導電場Eが生じる場合とは逆の方向に、運動する電場Eによって誘導磁場Hが生じるということです。

【誘導起電力の考え方】
 誘導起電力は、また、電圧を発生します。注意すべきことは、誘導電場Eが電荷に力を与えたらその役目を終え、その結果得られた電流が発生する電圧は、最初に考えた誘導電場Eの電圧の向きとは逆向きに発生することです。

 誘導起電力が外に出す電圧は、金属が誘導電場Eを打ち消すように電荷を移動させた結果だから、誘導電場とは逆向きになります。この説明は、後に詳しく説明します。
 その説明までは、とりあえず、誘導起電力というものは、誘導電場Eによって誘導電流を発生する電池として覚えましょう。
 その電池が誘導電流を流し、また、その電流が抵抗に流れると抵抗の電圧降下により電圧を発生すると覚えください。


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カレンダ
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